自閉症児と共に生きる

知的ハンディキャップのある自閉症児との味わい深い人生

人が幸せになるための4つの要素

 久しぶりにむさぼるように読んだ本。

虹色のチョーク

虹色のチョーク

 

 働く人の70%が知的障害を抱えているという日本理化学工業

それぞれの理解度に併せて工場のラインや製造工程を見える化しながら、生産性高く、高い品質を保つ商品を作り続けている。チョークの業界ではトップシェアを誇っているそうだ。ここで働く障害のある方も勤続20年なども珍しくない。

しかも、皆働くことを楽しみながら、会社に通っていると言う。

 

この本は、同社が何故知的障害を持つ方を雇い続けているのか、会長、社長と関係者へ丁寧に取材をしながら、そこで働く従業員である障害のある方の保護者にもインタビューしている。

印象的だったのは、会長が障害者雇用に軸足を踏んでいくきっかけとなった言葉。

 

人が幸せになるためには「人から愛されること、人から褒められること、人の役に立つこと、人から必要とされること」が大事だということ。

人から愛されること以外の3つは、働くことで得られるということ。

家庭や福祉によって守られるだけでは、この3つを得るのは難しいこと。

 

企業勤めをしていると、また株式会社である限り、利益の追求は絶対だしそのために非効率な部分は改善していくのが当たり前と考えてしまいがち。

とかく福祉的な発想と利益は相反するという思い込みもあるけれど、そうではなく、利益と福祉は両立可能であるということを日本理化学工業は示している。

 

高尚な思想だけでは20年以上も継続しないということは、ビジネス感覚に疎くたって直観的に分かる。トップの強い信念と日々の企業努力があってこその今なのだと思う。

日本にこんな企業が存在していると思うだけで、未来への希望を持つことができる。

 

息子もどんな環境にあっても「幸せだな」と思ってもらいたいし、今は家庭や学校生活を通じてその基礎を作っている途中だと思う。

改めて毎日息子に丁寧に向き合おうと心新たにできた本でした。