自閉症児と共に生きる

知的ハンディキャップのある自閉症児との味わい深い人生

支援計画インタビューと福祉主任の優しさ

4月から区が提供する福祉サービスを受けることになりました。

子どもの発達課題に応じて療育プログラムを用意してくれるとのことで

インタビューを受けに行ってきました。

主任という肩書きの女性に、息子の日常生活や困っていることを

細かく話していきます。

ご飯は一人で食べられるか(最近手づかみで食べる)

睡眠障害はないかどうか(ない)

トイレは自分でできるかどうか(できない)

困っていること、1年後にありたい姿は?と聞かれたので

「欲しいおもちゃを見るとお友達から無理矢理取り上げる

気に入らないと髪の毛を引っ張る。ひっかく、怒っていると

手を噛む仕草をするのが困っている。

理想は言葉でのコミュニケーションが取れること、

息子が自分の気持ちをサインや何かで表現できるようになることです」

と、正直に伝えました。

「最近、お友達の髪の毛を引っ張ったり、顔を引っ掻こうとするのを

止めさせたくて、叱る時に手をたたきます。発達障害の子どもにとって

はいけない行為でしょうか」と正直に話すと、相談員の女性は

「たたくことによって、その子はたたくことを肯定してしまうことに

つながります。だから、叩いたり引っ張る寸前に止めさせるのが理想です。

でも、私も子育てをしていて、自分の子どもには叩いたりしちゃいました。

毎日子どもと接していて、目を離さずにいるのは難しいと思います。

子どもが一番混乱するのは、この時はダメで別の時はOKなこと。

だからなるべく今後は息子さんが叩く寸前で止めるようにしてあげてください」

と、答えてくれました。

やっぱりダメだったんだ…。今後は必ずカッとせずに我慢しよう。

息子が叩いたり引っ張ったりしそうな時は寸前で止めさせよう。

主任の方の、相手の主張を受け止めながらやんわりと方向性を提示する

優しさに、助けられた気持ちがしました。

そして、私の短気な性格を治したいと強く思いました。

男性脳と女性脳の違い?

 

息子の発達障害が分かってから、「しんどいなぁ」と感じることがたまにある。

自分と同じような境遇の人がいないから、「そういうことある!」

という気持ちを共感することができない時だ。

 

みんな熱心に話を聞いてくれ、頑張れとか大変だねとか、個人的に励ましてくれることが多いのだが(そりゃそうだ)、一方で「たまにはしんどくなる時あるよね」と、ほんの少しでも共感してくれる人がいればだいぶ気持ちが楽になるのになぁと思う。

 

他の子どもと息子を比べても意味がないことは分かっているし、

息子の障害が好転するわけでも、もちろんない。

障害を受容できなかった時は、

同世代の子ども達のお母さんに会うのが辛かった。

嫌でも、成長の差を感じてしまうからだ。

でも、少しずつ息子の状況をオープンにしていくにつれて、

他の子どもとうちは違うんだって、

いい意味で割り切って考えられるようになっていた。 

ただ、それでもやっぱり「あぁ、定型発達の子って今こんな状況なんだ」って

思ってしまう瞬間はある。

「うちの子ってやっぱり相当遅れているんだな」と思う。

でも、少し時間が経てば「また明日から地道に頑張ろう」につながるんだし、

無意識に比較してしまう瞬間があっても仕方がないと思うのだけど。

「強い」心の持ち主はそうならないようにマインドセットするようだ。

自分の心の変化を予見して、本当に行く必要がある場なのかどうかを

選別しろということらしい。

感情はコントロールできるものなんだから、息子のことを守るためにも、

分別ある大人は自律的に行動するべきだというのが、おそらく夫の弁。 

価値観か考え方の違いだなと思う。

波が立たないように行動するか、波に正面から当たってその後で行動するか。 

逃げたくなる瞬間だってあるし、

実際に逃げてから自分の行動に後悔して戻ってくることもある。

それがリアルな人間の感情じゃないかなと思う。

 

逃げっぱなしだったら軽蔑するけれど、

戻ってもう一度向き合おうって決めた人間を

「弱い」と一蹴するのか、頑張ろうと言えるのかどうか。 

私は自分と同じような境遇の人には、「そういう時あるよね」と、

一旦は受け止めたい。そうじゃないと感情の逃げ場がなくなるから。

逃げ場がなくなった気持ちはいつか暴走するんじゃないかって思うから。 

 

夫とはやはり別の世界の住人同士だと思う。

 

「キレる女懲りない男」(黒川伊保子著・ちくま書房刊)という本に、

秀逸な表現があった。

「思いやりという機能は女性脳独特のもので、男性脳にはその

機能が備えられていない。思いやりで愛を測ってはいけない」

男性脳には、基本甘え(自己優先)やえこひいき(彼女優先)の構造はない」

 

今後夫とのやり取りで気持ちを消耗しないためにも、とても参考になる本だ。

 

キレる女 懲りない男: 男と女の脳科学 (ちくま新書)

キレる女 懲りない男: 男と女の脳科学 (ちくま新書)

春から通う療育プログラムを見学してきました

4月以降、息子と一緒に通う療育プログラムを見学に行ってきました。

そこのNPO法人は、母子が共にプログラムに参加することで、母子の

愛着関係を強固にし、他者とのコミュニケーション力を育んでいく

ことを大切に考えているそう。

だから、お弁当持ちです(汗)。

普段はフルタイムで働いているため、保育園でお昼を食べさせて

もらっていることもあり、週に1回のお弁当生活に最初はビビりましたが、

今は楽しみにしています。

息子の偏食がないかどうかを見るチャンスだし、何よりたくさん体を

動かした後で食べるご飯はきっとおいしい(はず)。

 

プログラムは、朝10時からスタート。

名前の書いてある手帳にシールを貼り、荷物をロッカーに入れます。

その後は30分間、自由遊び。園内にある障害物やおもちゃで遊びます。

10時30分からは、イスを並べて座り、朝の会。名前を呼ばれたら「はい」

と手を挙げさせて、出欠の確認。

11時からは体を動かす遊びや新聞紙を使った感覚遊びを30分ぐらい。

子どもをだっこしたり、おんぶしたり、肩車(!)したりと

親と先生はかなり体を動かします。ダイエットによさそう。

11時30分からは、児童館が主催するプログラムに参加し、お昼へ。

3歳になるまでは13時30分でプログラムは終了。

 

息子はいつもお昼が終わる12時30分ぐらいから2〜3時間お昼寝を

するので、帰るバスか車の中は爆睡かな。もしかしたら、眠たくなって

機嫌が悪くなるかも…。お気に入りの絵本かおもちゃ、お菓子を携帯

するなどして何か対策を考えておかなければ。

 

4月以降、息子にとってまた新たな環境がスタートしますが、

励ましながら、楽しい毎日にしていけたらと思っています。

 

在宅勤務申請許可降りました

懸案だった在宅勤務だが、上司が人事部長に交渉を

してくれたおかげで、無事許可が降りそう。

通常、私の職級だと出社が基本になってしまうのだが、

「イレギュラー対応」として、出社しなくてもOKとなった。

ただ、自宅でしっかり仕事をしてもらうためにも、

子どもは預けることというのが条件。

 

私の自宅は義理の母の家から徒歩3分のところにある。

療育は午前中が多いので、午後から保育園には預けられない。

これまでも義母に見ていてもらった。

今後もその方向性でと思っていたので、ひとまず在宅関連の心配事は

落ちついた。

 

4月から、火曜日と木曜日に療育へ通うことになる。

木曜日は母子共にお弁当持参だ。

初めてのお弁当作り。ちょっとワクワクする。

 

超不器用のため、キャラ弁は正直「迷惑な習慣」としか思っていなかった。

でも、少しでも子どもが喜んで食べてくれるなら、楽しく、おいしいお弁当を

作ってあげたい。

だから、今日は早速お弁当箱を買ってきた。

プラレールの絵のついたお弁当箱とアンパンマンの顔の形をした

デザートケース。

他にも、ニコニコマークのパンチ(のりを切る用)やら、アンパンマンの

顔の形に握れるおにぎりケースとか、ウィンナーケースとか色々

購入した。

 

今は不器用な母向けに色々便利なグッズが出回っていて嬉しい。

春からの療育生活、少しでも母子共に楽しめればと思っている。

 

 

在宅勤務はできるのか

2011年夏から療育を開始して半年。

親にしか分からない変化かもしれないが、息子は確実に成長している。

・ギャン泣きして嫌がった集団での遊びの時間も、大泣きしなくなった

(たまに愚図るけど)。

・逆手バイバイをあまりしなくなった(先生達に向かってちゃんとバイバイ

できる回数が増えた)。

・先生達と目を合わせるようになった。

・意欲的に体を動かすようになった等。

・お友達とは遊ばない(あまり興味がないというか意識していない)

だから、4月以降は療育の回数を増やしてみようと思った。

今は療育がある日は14時ぐらいに出社しているが、すぐにまたお迎えで

帰らないといけないので、移動の時間がもったいなぁと感じていた。

上司に相談すると、在宅でいいよとの反応が。

さっそく人事に申請すると、以下の回答が来た。

「あなたの職級だと、出社が基本。自宅で作業した分の時間を部分在宅として

1日3時間まで申請が可能」とのこと。

ガーン。

結局出社しないといけないのか。

ていうか、これまで自宅でサービス残業していた分を

正式に勤務時間に見なしただけじゃん…。

楽天みたいに、インフラ整えればどこでだって仕事できるのが

今のスタイルじゃないの?

職場に集まらないと仕事ができないって、旧時代の話じゃない?

育児以外にも介護してる人だって、出社が基本の在宅なんて

申請したくても無理でしょ。

そんな風に思ったので、人事の方に息子の発達障害の話や療育の話を

丁寧に説明したところ、

「実はそういうケースは初めてなので、私でも判断ができないんです。

持ち帰って上長に相談してみてもいいですか?」と。

一応検討はしてくれるようで安心した。

結果が出るのは2月中とのこと。

さて、無事在宅勤務が実現できるかどうか…。

 

 

 

 

 

 

療育とは何か

息子の発達のことを話すと必ず聞かれるのが「療育って何?」ということ。

療育とは、治療教育の略称。

個人的には、発達の課題に応じて専門家のサポート受けながら

苦手な部分を少しずつ目立たなくするよう働きかけていくという

意味に理解しています。

年末、自治体が運営する療育施設に申請をし、無事選抜?され

4月から週に1回通うことになりました。

ちなみに、現在通っている療育はNPO法人が運営しています。

 

今年私が住んでいる区では、300人近い療育の申請があったそうです。

300人という数字が多いのか少ないのかピンとこなかったので、区の出生数を

見てみると、息子が生まれた2010年は約3600人の新生児が誕生していました。

12人に一人が発達に課題があるということになります。

 

色々とサイトを見ていると、療育に通ったからといって劇的な変化が

あるわけではないとあります。

中には、「行かないよりは行ったほうがいいという程度」などと書いてるところも。

ただ、私は昨年の夏に療育を開始してから、息子の表情がとても増えたこと、

目を合わせるようになったこと、逆手バイバイ(※手の平を自分の方に向けてバイバイ

する。自閉症のひとつの症状と言われている)が消えたこと、などを考えると

手応えを感じています。

だから、今年は週に1回から2回に療育の回数を増やそうと思いました。

ほんの少しでも変化の兆しを見つけられると、やる気も出てきます。

息子のペースで発達を支援していけたらいいなと思っています。

療育ママ友達もできるといいなぁ。

 

 

言葉が出ない子どもを支援する方法とは

2歳8ヶ月の息子は言葉の発達に課題がある。

簡単に言うと、言葉がほとんど出ない。

定型発達(特に何の問題もなく順調に発達している人のこと)の場合、

1歳から「ママ」「まんま」など簡単な単語が出始め、1歳半から2歳にかけて

語彙が飛躍的に増えていって、「まんまちょうだい」などの二語文になっていくそう。

語彙はその後もどんどん増え続けていき、6歳頃になると大人が話すような抽象的な概念も理解するようになるのだそうだ。

 

以下、参考になったセミナーのメモを備忘録的に。

一番参考になったのは以下2点。

言語は理解ができるようにするのが先、発語はその後

日常の働きかけの中で語彙(名詞や動詞、形容詞など)を増やしていく

単語が出始めるのが遅い場合、単語から一語文、二語文などへとつながる段階も遅くなる。息子は2歳半ぐらいから「ばば」「じじ」「パパ」などいう単語を発するようになった。「ママ」も一時期は言ってくれたが、最近また言わなくなってしまった(涙)。

だから、単語が二語文になる時は今後1年〜1年半は先ということ。

3歳半〜4歳で二語文が話せるようになるのか(まだまだ先ということか…)

 

ただ、見逃してはいけないのが、ただの単語に見えるけど、文章のように聞こえる一語文があるということ。例えば「ちょうだい」といいながら指差しをするなど。

この場合は、二語文に近い状態になってきているということらしい。

だから、単語しか話さないと意気消沈するのではなく、小さな変化を見逃さずに発達支援をすることが大事とのことだった。

名詞を増やす工夫→おままごとや実際に家にある物を見せながら増やしていく

動詞を増やす工夫→子どもの実際の行動に合わせて擬音語や擬態語を声がけしていく。

(例)ごくごく、ぱくぱく、もぐもぐなど 

記憶容量を増やす工夫→「りんごとみかん取って」というように、二つの物の名前を出していく、「パパのところで○○持ってきて」などのように、少し離れたところで何かアクションさせるようにするなど

 

椅子に座らせて訓練のようにやるのではなく、遊びを交えながらいかに自然に生活の中で支援していくかが大切と、何度も先生はおっしゃっていた。

息子は定型発達の子とは約1年遅れているので、今回教わったことを元に積極的に働きかけていくことで、少しでも彼の中の力を引き出してあげられたらなと思った。